「生理中でもランニングを続けたい、マラソン大会と被ってしまったけど、どんな対策が必要?」
女性ランナーにとって、生理中のランニングは少し不安なもの。しかし、適切な対策とグッズを活用すれば、生理期間中も快適に走り続けることができます。この記事では、生理対策と実際の大会で行った対策を紹介していきます。
ランニング時の生理対策
生理とランニングの関係
生理がランニングに与える影響
生理がランニングに与える影響は、個々の女性の体調や生理周期によって異なりますが、一般的に以下のような影響が考えられます。
- パフォーマンス低下
生理中、特に月経初期には、体内のホルモンバランスが変化し、エネルギー不足や疲労感を感じやすくなります。これにより、通常よりもパフォーマンスが低下する可能性があります。 - 痛みや不快感
生理痛や腹痛、頭痛などの不快な症状がランニング中に現れることがあります。これにより、集中力が低下し、ランニングのリズムが乱れることがあります。 - 貧血のリスク
生理中は鉄分の損失が増えるため、貧血のリスクが高まります。貧血になると、酸素供給が不十分になり、持久力やスタミナが低下します。 - 体温調節の変化
生理前後のホルモン変動により、体温調節が難しくなることがあります。これが、ランニング中に過度の発汗や寒気を引き起こすことがあります。 - メンタル面への影響
ホルモンバランスの変化により、気分の浮き沈みが激しくなることがあります。これは、モチベーションの低下やストレスの増加につながり、ランニングに対する意欲をそぐ原因となります。 - 水分バランスの変化
生理中はホルモンの影響で水分保持が変わりやすく、むくみや脱水症状が起こりやすくなります。これがパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
これらの影響を理解し、適切な対策を講じることで、生理中でも快適にランニングを続けることが可能です。
生理中のランニングのメリット
生理がランニングに与える影響から生理中にランニングは向いてないように見えますが、生理中のランニングには、いくつかのメリットがあります。適度な運動を取り入れることで、生理に伴う不快な症状を軽減し、心身の健康をサポートすることができます。
- 生理痛の軽減
ランニングなどの有酸素運動は、体内でエンドルフィン(「幸せホルモン」)を分泌させ、自然な鎮痛効果をもたらします。これにより、生理痛や腹痛が軽減されることがあります。 - 気分の改善
運動はストレスを軽減し、気分を向上させる効果があります。生理中のホルモン変動による気分の浮き沈みやイライラを、ランニングで和らげることができます。 - 血行促進
ランニングは全身の血行を促進し、体温を上げることで、冷え性やむくみの改善に役立ちます。これにより、体内の老廃物が排出されやすくなり、体調が整いやすくなります。 - 疲労感の軽減
適度な運動は、エネルギーレベルを維持し、生理中の倦怠感や疲労感を軽減します。運動後には、リラックスした気分で疲労が和らぐことが期待できます。 - 睡眠の質の向上
ランニングは、心身をリラックスさせる効果があり、良質な睡眠を促進します。生理中のホルモンバランスの変化によって睡眠が妨げられることがあるため、運動はこの影響を緩和する助けとなります。 - ホルモンバランスの調整
定期的な運動は、女性ホルモンのバランスを整える効果があります。これにより、生理周期が安定し、生理前症候群(PMS)の症状が軽減されることがあります。 - 自己肯定感の向上
生理中に運動を続けることで、自己管理能力が高まり、自己肯定感や達成感を得ることができます。これは、全体的な精神的健康にもプラスの影響を与えます。
生理対策の基本
- 生理周期の把握
- 食事と栄養管理
- スポーツ用生理用品
- ピル
生理周期の把握
レースの半年前から生理周期を把握していれば、生理不順ではない限りほぼ正確に生理予定日が算出されます。まずは生理日の把握から始めましょう。アプリを使うと排卵日や数ヶ月後の生理開始日が予測されるので使いやすいかと思います。
食事と栄養管理
生理中のランニングをサポートするためには、食事と栄養管理が非常に重要です。適切な栄養素を摂取することで、体調を整え、パフォーマンスを維持しやすくなります。以下は、生理中のランニングを支えるための食事と栄養管理のポイントです。
1. 鉄分の補給
- 重要性: 生理中は経血によって鉄分が失われやすく、貧血のリスクが高まります。鉄分を十分に補給することで、エネルギーレベルを維持し疲労感を軽減します。
- 摂取方法: 赤身の肉、レバー、ほうれん草、豆類、鉄分強化シリアルなどの食品を積極的に摂取しましょう。ビタミンCと一緒に摂ることで、鉄分の吸収が促進されます。
2. マグネシウムの摂取
- 重要性: マグネシウムは筋肉の弛緩と収縮に関与し、生理痛の軽減や筋肉のこわばりを防ぐ効果があります。また、疲労回復にも役立ちます。
- 摂取方法: ナッツ類、種子、豆類、ほうれん草、バナナ、ダークチョコレートなどにマグネシウムが豊富に含まれています。
3. ビタミンB群の補給
- 重要性: ビタミンB群はエネルギー代謝を助け、疲労感を軽減します。また、気分の安定やストレス軽減にも役立ちます。
- 摂取方法: 全粒穀物、肉類、卵、ナッツ、緑黄色野菜などをバランスよく摂取することが重要です。
4. オメガ-3脂肪酸の摂取
- 重要性: オメガ-3脂肪酸には抗炎症作用があり、生理痛や筋肉の炎症を軽減する効果があります。また、心身の健康維持にも貢献します。
- 摂取方法: 魚(サーモン、マグロ、イワシなど)、亜麻仁油、チアシード、クルミなどから摂取できます。
5. 水分補給
- 重要性: 生理中は体内の水分バランスが乱れやすく、むくみや脱水症状が起こりやすいです。十分な水分補給を行うことで、体調を整え、パフォーマンスを維持しやすくなります。
- 摂取方法: ランニング前後にこまめに水分を摂取し、スポーツドリンクなどで電解質を補給することも効果的です。
6. 抗酸化物質の摂取
- 重要性: 抗酸化物質は、体内の炎症を抑え、免疫力を高める効果があります。特に、生理中のストレスや体調不良を軽減するために役立ちます。
- 摂取方法: ベリー類、柑橘類、緑茶、ダークチョコレート、ナッツなど、抗酸化物質が豊富な食品を取り入れましょう。
7. 適切なカロリー摂取
- 重要性: 生理中は基礎代謝が変動することがあります。エネルギー不足を避けるために、適切なカロリーを摂取し、エネルギーを維持することが重要です。
- 摂取方法: バランスの取れた食事を心がけ、炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく摂取しましょう。
生理時のランニングに役立つ対策グッズ
1. 吸収性の高い生理用ナプキンとタンポン
生理用品はスポーツ用のナプキン(タンポン)、ショーツや吸水サニタリーショーツを利用するといいです。
通常時のものよりしっかりとしたナプキン、ホールド力のあるショーツを使うことで漏れの心配がなくなります。また、スポーツ用のサニタリーショーツは吸汗速乾性を兼ね備えています。ナプキンはスポーツ用だと擦れや蒸れに強くできているので安心して装着できます。抵抗なければタンポンも利用するとより安心して走れます。
2. 月経カップ
月経カップは、生理中に経血を収集するために使用される再利用可能なシリコン、ラテックス、またはTPE製の小さなカップ型の器具です。近年、環境に優しく、経済的であることから、使い捨てナプキンやタンポンに代わる選択肢として人気が高まっています。
3. 吸水ショーツ
吸水ショーツは、生理中にナプキンやタンポンを使わずに過ごせる、生理用のショーツです。特別な吸水素材を使っており、経血をしっかりと吸収し、漏れを防ぎます。吸収力は製品によって異なり、通常の1日分からタンポン数本分の経血を吸収可能です。洗濯して繰り返し使用できるため、環境に優しく、経済的です。デザインは通常のショーツとほとんど変わらず、外出時やスポーツ時にも安心して使用できるのが特徴です。
4. 摩擦防止クリーム
摩擦防止クリームは長距離のランニングの時、衣類との擦れ防止に必須アイテムです。
擦れ防止のためにワセリンやProtect J1などをショーツやナプキンと接する部分に多めに塗りましょう。
5. ピル
大会の日に生理日に重なることが事前にわかっていれば「ピル」で生理日をずらすことも検討してもOK。ただし、ピルの使用には注意点があります。
- 産婦人科へ受診(ずらしたい生理周期の1ヶ月前までに)
- Webで購入(Web or 電話診察あり)
- 生理周期の把握(飲み始めのタイミングを指導するため)
- 受診料は自費
- 副作用が人によって様々
- 成功率は100%ではない
生理周期をずらすためのピルは産婦人科への受診もしくは、Webで購入するために医師のWebか電話での診察が必要です。
病院受診タイミングとして、大会の1ヶ月程度前までには受診しておく必要があります。
自費で2000〜3000円程度だと思いますが、薬を飲む期間と処方される薬の種類によって変わりますので医療機関にお問い合わせください。
Webでピルを購入するならオンラインピル処方【ルナルナおくすり便】
ピルには副作用があります。ピルを飲み慣れていない方は慎重に選択してください。
私は中容量ピルが処方され強い副作用が出ました。吐き気、腹部膨満感、便秘などありました。(その時のマラソンは途中で気分が悪くなりDNF)
レースでの経験
マラソン大会と生理が被った経験があるため、実際に行った対策を紹介します。
生理1日目のウルトラマラソン(村岡ダブルフルウルトラランニング100km)
村岡ダブルフルウルトラランニング大会当日の朝に生理になりました。
レースは累積標高3,300mの100kmです。
大会レビューは、「【参加レビュー】西の横綱・村岡ダブルフルウルトラランニング100km」で紹介しています。
生理が始まってすぐだったこともあり、起きてすぐ鎮痛剤を飲みスポーツ用ナプキンをつけてレースに挑みました。ナプキンと皮膚が当たる部分にはウルトラ用に購入していた皮膚保護クリームとして「Protect J1」をしっかりと塗りこんでおきました。
特に腹痛を感じることはありませんでしたが、生理の時の症状として強く出る眠気がレースの序盤で出てきました。眠気に対しては、周りのランナーと話しながら走ることでなんとか解決できました。
60km地点で、汗でナプキンがずれてきてしまったのでトイレで交換しました。交換時に保護クリームを再度塗りました。
鎮痛剤は、1回目の鎮痛剤を飲んでから6時間を過ぎた50km地点で再度服用しました。特に痛みはありませんでしたが、ウルトラの筋肉痛対策として飲みました。
トイレへはレース中に3回行きましたが、100kmのレースでは2〜3回行くことが多いため生理だからと言った訳ではなく通常通りの回数でした。
結果的に、特に皮膚の擦れもなく経血漏れもなく100km完走することができました。
生理2日目のフルマラソン(福岡マラソン2023)
福岡マラソンでは、前日に生理になりました。ということで最も出血量の多い2日目がレースの日となりました。
レース当日の朝ごはんの時に鎮痛剤を飲み、サニタリーショーツ+タンポン+スポーツ用ナプキンで対応しました。
皮膚保護クリームは約4時間程度のレースであったため「ワセリン」を使用しました。タンポンを使用していたことで特に経血漏れを感じることがありませんでした。また皮膚の擦れもほぼありませんでした。
トイレへは腹痛で1回立ち寄りました。生理期間の前半はお腹が緩くなりがちなのが原因です。生理痛は鎮痛剤のおかげで特に感じることはありませんでした。
生理中も快適ランニングライフを
女性ランナーの生理対策を紹介しました。生理はしっかりと対策することで、大会を乗り切ることができます。生理中だと自分の最高の走りはできないかもしれませんが、対策をしっかりとしてそのときのコンディションで100点満点の走りをしましょう。