ウルトラマラソン界の西の横綱「村岡ダブルフルウルトラランニング」
44km、66km、88km、100kmと4部門に分かれておりウルトラ初心者から玄人まで参加できる大会です。そのなかでも100kmは、特に難易度が高くウルトラマラソンの猛者たちが集まってきます。
今回、ウルトラマラソン初心者が100kmの部に参加してきましたので会場の雰囲気やコース、エイドについてレビューしていきます。
村岡ダブルフルウルトラランニング
大会概要
- 開催地: 兵庫県美方郡香美町村岡区
- 開催日程: 2023/9/23(日) 例年9月第4日曜日に開催
- 参加人数: 100km 800人, 88km 300人, 64km 300人, 43km 600人
- 制限時間: 100km, 88km, 64km 14時間,43km 12時間
- 費用: 100km ¥15,000, 88km ¥13,000, 64km ¥11,000, 43km ¥7,000
- エントリー: RUNNET (2024年度は5/1〜5/15)
- スタート&ゴール: 村岡小学校
2023年度は台風の影響によりコース変更となったため、通常では村岡地区一帯を巡るコースから、村岡小学校を発着とし、ハチ北高原、蘇武岳を経て一二峠を往復するコースに変更となっています。 - 気候: 9月開催ですが最終週のため、若干秋めいてきます。日中は20℃以上となり走るには暑いと感じます。スタートとゴールの時間帯は肌寒く感じるかもしれません。
スタート・ゴール会場
スタート・ゴール会場は村岡小学校です。
※今年度はゼッケンや案内は事前送付になっています。
スタート
トイレ
スタート会場のトイレは更衣室内にあります。(時間がなく仮設トイレの有無は確認できませんでした)あまり多くはないので余裕をもってトイレを済ませましょう。
女子更衣室のトイレは2つしかなかったため、大渋滞でした。早めに会場入りすることをおすすめします。
手荷物預け・更衣室
体育館内が更衣室となっています。荷物預けはなく体育館内に荷物を好きな場所に置く感じです。ただし、貴重品預けは別にあるので気になる方は分けて預けましょう。
100km、88kmは女性参加者が少ないため体育館を広々と使用できました。混雑することなく着替えができました。
整列ブロック
スタート15分前くらいから案内があります。順次スタート前に並んでください。ブロック分けもありませんので自由に並んで号砲が鳴ったらスタートです。100kmと88kmが5:00に同時スタートでした。
スタート前には、熊鈴が無料で配布されます。途中の蘇武岳では熊が出る可能性があるそうです。必ずつけて走ってください。
ゴール会場
ゴール後の流れ
- 完走タオル受け取り
- 計測タグの返却
- 給食(時間により売り切れ)
- 更衣、荷物の受け取り(預けた人のみ)
完走賞は完走タオルのみです。
ゴール後は計測タグをボランティアの学生さんが切ってくれます。返却後は給食もあったようですが、私がゴールした時にはほぼ売り切れていました。
また参加者が他の大会より少ないためゴールエリアで大会カメラマンに撮影してもらえます。(後日、公式HPで公開される予定)
ゴールの写真は、制限時間ギリギリのためあまり撮影できませんでした。制限時間になると花火が上がる関係で照明が落ちます。
ゴール後の着替え
荷物をおいた体育館で更衣になります。私が最終ランナーでしたが、着替え終わるまでスタッフの方は待っていてくれました。室温も適温で着替えはゆったりとできました。
最終ランナーだったため更衣室の混み具合はわかりませんでした。ただ、急かされることもなくゆっくり着替えができたのはよかったです。
アクセス
有料シャトルバスとして、大阪駅往復と姫路駅往復があります。シャトルバスを利用しない場合は自家用車での来場が必要になります。自家用車の場合は駐車券が必要です。(エントリー時申請)
コース&エイド情報
コース解説
本記事のコース解説は100kmの部のものです。
スタート〜40km
スタートしてから3kmは市街地を走るフラットコースです。幻想的な提灯で灯された街並みを見ながら山へと向かっていきます。
山に入ると、スキー場のあるハチ北高原まで12kmほど上りが続きます(+400m)。朝日が徐々に登りとても棚田などの美しい景色が広がります。登りはきついですが、序盤ということもあり比較的登れると思います。
15kmのハチ北高原の頂上を抜けると約5kmで一気に下ります。この下りがかなり傾斜がきつくブレーキが利きづらいです。けがをしないように走るのがポイントです。
ハチ北を過ぎるとまた若干の登りがあります。距離は短いですが勾配がきつい箇所もあります。登りきるとハチ北ほど急ではありませんが、再び下りとなります。一気に‐300m下りきると33kmの第一関門に到達します。(この関門は緩く普通に走れば1時間程度貯金できます)
第一関門以降は、猿尾滝に向かっていくコースとなります。スライド区間になるため速いランナーとすれ違いながらエールを送れる場所になります。
徐々に日が明けてくると山の風景が見えてきます。自然豊かでとても綺麗な風景を望みながら走れます(坂きついけど)
蘇武岳(40km〜75km)
40kmからは村岡ダブルフルウルトラマラソンの最難関「蘇武岳」の登場です。約8〜9kmで標高800m登るコースが設定されています。
斜度がきつく走って登れるのは、ベテランランナーくらい…ほとんどの人が歩いて登ります。距離が長いので登ってもなかなか頂上につかずメンタルが削られるポイントです。頂上に近づくと斜度が若干緩やかになるので走ることもできます。
頂上を過ぎると、下り基調になりますが細かいアップダウンがあります。下りの途中に56km地点の折返し(第2関門)があり来た道を戻る形になります。
この蘇武岳の頂上までが長く感じます。往路が下り基調ということは復路が上り。また高低差は少ないにものの7kmくらいは登らないといけないためここでもメンタルが削られていきます。
頂上になると今度は激下りゾーンとなり、ブレーキが効きにくほどの斜度を一気に駆け下ります。ここで頑張って走ってしまうと、この先に待ち構えている一二峠の往復で脚が動かなくなります。
蘇武岳を下るとスタートの村岡小学校方面へ向かっていきます。村岡小学校前が第3関門になります。
第2関門(56km)と第3関門(76km)は20kmも離れているのに関門閉鎖時間は1時間半しかありません。関門通過時間に注意!
一二峠(ほいとうげ 75km〜ゴール)
一二峠は標高+250m程度を約5kmかけて登り下りする峠ですが、レースも後半。蘇武岳でしっかりと脚が疲弊しているため、登り坂が永遠に続くような感覚になります。最もメンタルがやられる区間になります。
峠の往路を超えると、片道3.2kmの平坦な道を往復します。峠だらけのコースの中に平坦な道があると、とてつもなく長い道のりのように思えてきます(錯覚)
フラットな道が終わると第4関門(91km)です。関門を超えると峠の復路の始まりです。
最終関門をギリギリに通過すれば完走が見えてきます!関門閉鎖3分30秒前に通過しましたが、完走できました!コツは登りは歩いて下りを走る!
制限時間ぎりぎりで通過すると峠の中の日没を迎え周りが暗くなります。91kmの関門で配布されるペンライトを持つか、ヘッドライトを持参するといいでしょう。かなり暗くなるのでライト必須です!
エイド情報
村岡ダブルフルウルトラランニングでは約5kmごとにエイドが設定されています。その他、蘇武岳に入るまでは私設エイドが多くあり、ピザやプリンなどが提供されていました。
また売り切れることがほぼなくほぼ最終ランナーでしたが最後までしっかりと給食が提供されていました。
村岡ダブルフルのエイド充実度はピカイチ!私設エイドも私設だとは思えないくらいの充実度!
地元の方が明るく元気に迎えてくれます。
いいところと悪いところ
参加してみてわかった村岡ダブルフルウルトラランニングのいいところと悪いところを解説します。
いいところ
- エイドが充実
- 街の人が温かい
- 景色が綺麗
- 難コース故のランナー同士の一体感
エイドが充実している
公式エイドだけではなく、街の人たちによる私設エイドがあります。特に公式エイドでは、予告されていたものが売り切れていても代わりのものが用意されていました。
エイドの内容もおにぎりやフルーツ、パン、塩タブレットはもちろんのことゼリーやお好み焼き、プリンなど変わり種もありました。
街の人が温かい・応援が多い
スタート直後が市街地を走るということで、街の人が沿道に出てAM5:00から応援してくれていました。また民家があるエリアでは必ず住民の方が軒先に出て応援してくれました。
またエイドボランティアも最後まで一生懸命応援してくれて、住民の方の温かさを感じました。
悪いところ
- 坂しかない
- 獲得標高が高い(3000m超)
- 山の中はトイレが少ない(5kmごと)
坂しかない・獲得標高が高い
獲得標高は100kmの部で3,000m越え、スタートから3km以降は全て登りか下りしかないコースになっています。2023年度はコース変更により獲得標高が増え、難易度がUPしたという情報もあります。
また獲得標高が他のウルトラマラソンより高い割に、制限時間は他と同じ14時間となっているため難易度が高くなっています。
トイレが少ない
基本的にトイレは公式エイドのみです。市街地は公式エイドが多めに設定されていますが、峠に入ると5kmごとのエイドに2個程度のトイレしかありません。
特に後半は胃腸の不調が出てくるランナーも多く待ち時間が増えます。気づいた時にトイレに行くことをおすすめします。
トイレ待ちは最大5分程ありました。気になった時に行っておけばよかったと少し後悔。(後半は関門ギリギリだったため)
ウルトラマラソンの難易度は日本屈指!
村岡ダブルフルウルトラマラソンの100kmは獲得標高3000m以上となり、日本屈指のウルトラマラソンになっています。初心者には全くおすすめはできませんが、数回ウルトラ経験があれば挑戦するのもアリです。
しかし、ウルトラ初心者でも挑戦しやすい、44kmや66kmと多くのレベルのランナーが挑戦できるウルトラマラソンでもあります。
村岡ダブルフルウルトラマラソンに少しでも魅力を感じたら、好きな距離を選んで挑戦してみてください。エイドの充実度、景色はとても素晴らしい大会です。